佐久間 典子(アフリカ市場 タムタム)
By NORIKO SAKUMA(tam-tam)
東京・谷中で営むアフリカ雑貨店に並べているものの中で、触ってみる方が多く、一番人気があるのは楽器です。西洋楽器の分類とは異なる「楽器分類学」をもとに見てみます。これによると、音を出す刺激が与えられる所が、楽器の一部だと「体鳴楽器」、張った膜では「膜鳴楽器」、張った糸は「弦鳴楽器」、そして空気の流れが刺激となる「気鳴楽器」に分けられます。
アフリカで種類が多いのが「体鳴楽器」。鉄製または竹のキーを親指などで弾(はじ)く「親指ピアノ」は、手動のオルゴールといえるような独特の楽器です(名称は「カリンバ」、「ムビラ」、「サンザ」など地域で変わります)。種が入った2個の木の実をひもでつなぎ、振り、当てる「アサラト」(別名「バティカ」他)は、カスタネットとマラカスと組み合わせた音。マラカスの仲間には、ひょうたんに種やビーズなどを編みこんだ網をかぶせた「シェケレ」、凹凸があるひょうたんの一種の中身を出し、小さな実などを入れた「オショ」があります。ひょうたんは、「ムビラ」ではキーを張った板と組ませ、「バラフォン」という木琴では鍵盤の下につけられて、共鳴の役割も担っています。
「膜鳴楽器」=太鼓も発達しています。日本で演奏する人が増えているのが「ジェンベ」。一本の木から削りだされた胴体にヤギ皮を張ったゴブレット型の片面太鼓で、素手でたたきます。ずしんと響く低音も抜ける高音も魅力。砂時計型の木の胴の両端に革を張り、その縁に革ひもを渡した太鼓、「トーキング・ドラム」(「タマ」、「ドンド」、「ドゥンドゥン」等の名称)は、脇にはさみ、L字型のバチでたたいて演奏。胴のくびれをはさむ腕の力を強めていくと、面が張って音が高く、ゆるめると低く聞こえるという音質の変化でメッセージを伝える機能を持ちます。調(しらべ)緒をしめたりゆるめたりして音色を変える日本の小鼓と近い楽器です。ほかに、素焼きの枠に革を張り、バチでたたく平たい「サカラ」、革を張ったケニア版でんでん太鼓、といろいろな形があります。
数では存在感が薄い「弦鳴楽器」の中で、共鳴胴となる竹筒の周りにぐるりと弦を張ったマダガスカルの「ヴァリハ」は、「ツィター属」。日本の筝の仲間です。普通、スチール弦ですが、元々は竹の表皮を細長くはいで弦にし、コマをはさんだ楽器で、インドネシアやフィリピンにもあります。共鳴胴と、そこから延びる2本の腕をつなぐ横木の間に、平行に弦を張った「リラ属」には、エチオピア「クラール」。共鳴胴と、そこに付けた曲線の棒との間に、角度をもって弦を張った「ハープ属」の簡単な構造のものは、いろいろな地域で見られます(西アフリカには、21弦の「コラ」があります)。管楽器と呼ばれるものが主の「気鳴楽器」は置いていませんが、以前、イングリッシュ・ホルンに通じる音色のモロッコの葦笛「リタ」や、マダガスカルの竹笛「ソデナ」を扱っていました。
残念ながら、文章では音色を伝えることはできないので、関心をお持ちになった楽器がありましたら、演奏されているCDを店やウェブサイトで探し、聴いてみてください。
参考資料: ウィキペディア-「楽器」、「弦楽器」/『アフリカを知る事典』(平凡社)
写真の上の段、左からケニア版でんでん太鼓、サカラ、バラフォン、アサラト、シェケレ、オショ、下の段は、カリンバの小、竹のキーのサンザ、トーキング・ドラム、ムビラの板のみ、ムビラ、その下は、「ハープ属」の簡単な楽器、ジェンベ、クラール、ヴァリハ。
■佐久間典子(NORIKO SAKUMA), アフリカ市場 タムタム 経営
アフリカの雑貨を通して、アフリカのことを伝えている。また、店にはお茶のコーナーがあり、アフリカ関係の本の閲覧もできる。
アフリカ市場タムタム
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