6.08.2009

コフィー・アナン講演「世界の経済危機とアフリカ-アフリカのパートナーの役割」

Lecture by Dr.Kofi Annan, "The Global Economic Crisis and Africa: The Role of Africa's Partners"

コフィー・アナン前国連事務総長が63日、 東京大学に於いて開催されたシンポジウム「世界のために働くということ」において「世界の経済危機とアフリカ-アフリカのパートナーの役割」と題して以下のように講演した。

私は、東京大学の卒業生と同じである。なぜなら、3年前に名誉教授を授与されたためである。

真のグローバリゼーションとは何か。日本は金融危機から遠い。依然、日本は豊かである。アフリカの資源はアフリカ自身が獲得することが困難である。なぜなら、日本のようなリーダーシップができていない。サブサハラ以南は今年500億ドルもの収入が激減すると予測されている。アフリカは日本のような豊かな隣国がなく、一日1ドル以下の生活を強いられている人々が存在するため、アフリカで飢饉が発生すると、別の飢饉が発生してしまう。

アフリカでは、先進国からの影響で地球温暖化といった公害の影響を受けている。そのため、我々にはCO2の削減の課題もある。アフリカにおけるインフラ整備、雇用が重要である。アメリカの一社を救う基金は、OECDの開発援助よりも多い。

2005年、アフリカにおいて大量殺戮が発生した。国家が国民を保護することができない状況の場合、国際社会がサポートしなければならない。我々は黙っているわけにはいかない。我々は国境の外に目を向ける必要がある。また、インフラの長期的な投資も必要である。インフラが整備されていなければ、輸送する手段もなくなってしまう。インフラ協力によって発展途上国及び先進国にとってプラスになる。インフラ整備はアフリカだけの問題ではなく、良い国際関係が持続的に構築される上、貿易を促進することが可能である。

農業は重要である。アフリカには農業技術がある。アフリカは、アジアや南米とは農業の形態が異なる。アジアはお米が主流であるが、アフリカはネリカ米、ソルガムといった作物を栽培しており、アフリカは単一栽培ではない。

 昨年、洞爺湖で開催されたG8では、アフリカに対する支援を実施する責任が必要である。ブラジル、中国とインドと協力し、既存の支援に対する調整が必要である。緒方貞子氏はこれを支持されたことによって、日本は、G8TICADでもアフリカに光をあてた。


質疑応答

Q:ハイレベルパネルのレポートに関してだが、主権と責任のバランスをどうするのか?

多国籍軍による主権か、それとも地域的な主権なのか。A:主権は重要である。国際社会自身が主権の集まりである。例えば、ウェストファリア条約のように主権は人々を守るために使用すべきである。法の支配がなく、国民の安全が脅かされる場合、平和的な世界を確保する必要がある。そのためには、国際社会が介入する必要があり、例として(国際社会は安全保障のために)第二次世界大戦、コソボ紛争、ユーゴスラビアに参加している。大量殺戮、民族浄化から人々を守らなければならない。ダルフール問題はこれらの前から存在する。ケニアの場合は、政治的外交的にAU(アフリカ連盟)と協力した。なぜなら、ルワンダの二の舞になる恐れがあったためである。2007 12月、ケニアにおける10日間の紛争によって、数千名が死亡した。ケニアは内陸国のため、周辺国にも影響を及ぼす。


<シンポジウムに出席して>

このシンポジウムにおいて、コフィー・アナン氏は大きく次の3点を指摘された。それは、1.アフリカが先進国からの経済危機及び環境の悪化といった影響を強く受けていること

2.アフリカの農業技術の発展3.核問題、である。

2についてであるが、コフィー・アナン氏はアフリカにおける農業の重要性を指摘している。アフリカにおける援助は先進国がアフリカに畑に単一作物を栽培することを要請することが多い。けれども、アフリカでは混栽が主流である。混栽することで、お互いの作物が上手く相互作用を働きかけ、上手く育つのである。

私の研究地であるザンビアと同様、旧イギリス殖民地であったケニアは、アフリカにおける成功例として挙げられることが多かった。けれども、200712月に実施された大統領選挙においてキバキ大統領が再選されたことに対し、野党のODM側は不正が行われたと主張したために暴動が発生し、1200名の命が犠牲となり、国内避難民が大量発生した。

コフィー・アナン氏は、この暴動が勃発した際、これを阻止するキーパーソンの役割を担われている。彼は、ケニアのリーダーと直接お会いし、交渉し、被害が拡大しないように働きかけ、その結果、大統領及びオディンガ党首は連立内閣を発足した。国際社会は非常に複雑であり、アフリカの紛争の背景には大国の影があることも多い。そのため、アフリカ諸国自身がグッドガバナンスを確立する必要がある。例えば、脆弱な政府があれば、他のアフリカ諸国が上手く働きかける、お互いの長所を補完し合えば、アフリカは国民に優しい国になり、先進国からの武器とアフリカの資源をトレードするといった無理な要請にも疑問を持つことができるのではないだろうか。(堀尾 藍, Editor in Chief )

コフィー・アナン前国連事務総長と在京ザンビア大使館参事官

*文責は堀尾藍にあります。

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